早川先輩の溺愛。




状況の改善もないまま数日後、


俺は帰り道に藤野と慧が話してるのを見た。


しばらくすると、慧はこちらに向かって早足で近づいて来て、俺に気づくとピタリと立ち止まった。


「春、我慢してるから。
俺のせいだが、俺が言っても意味がない。

…あいつに、素直になるよう話してくれないか。」


切なそうな顔をした友人に、俺は心の中でため息を吐いた。


顔ではニコリと笑って、快く引き受ける。



誰も考えていないだろう。



俺が、


「あたし、なぁにやってんだろ。」


このバカでお人好しでわがままでずるい鈍感女に惚れてるなんてな。