藤野のが秋を振る?
そんなことあるはずがない。
完全に、秋のことしか見ていなかったのに。
慧の様子を見ても、とりわけ幸福そうじゃないとこから、特に付き合ってるわけでもなさそうだし。
そんなことを思いながらも、それ以上秋に言うことはできなかった。
…なぁに、バカやってんだか。
藤野も秋も、大馬鹿物だ。
慧も慧で、元から幼馴染でいられないなど、こじらせるようなことを言うからこんななるんだよ。
まぁ、大方察しはつくし。
結局藤野はどちらも取らなかったんだ。
それを喜ぶ自分に、どうしようもなく笑えて仕方がなかった。

