早川先輩の溺愛。



俺はその後を追って、グイッと秋の手首を掴んだ。


「お前、それでいいの?」


一度振られたくらいで諦めるような想いだったなら、俺は。


「いいもなにも、あんな顔見せられちゃ、俺もわがままいえねぇよ。

…大事なんだ、藤野が。
困らせるようなこと、したくないんだよ。」


「だからって、適当な女だいて誤魔化すなよ。
…その辺ので代わりにできる女じゃないんだろ、藤野は!」


思わずかっとなって胸ぐらを掴むと、逆に掴み返されて秋は小さくいった。



「そうだよ、だから。だからだよ。
…あいつがいなきゃ、俺は満たされないの。


でもそれを藤野が望まないなら。
望むことをしてやるだけだ。


…それが俺にできる唯一のことだ。」