「藤野が考えてるよりずっと、秋は傷ついてる。
そして藤野のことを考えてる。」


あたしの涙はとっくに止まって、お店のBGMも、他の客の声も全て消え去って、宮城先輩の真剣な声と、自分の心音しか聞こえない。



「藤野が良かれと思った行動が結果的に、誰も幸せになれない結果を生んだんだぞ。


藤野の選択が慧を傷つけ、秋を傷つけて、その秋の行動で藤野が傷ついてる。


…そんなバカなこといつまで続けるつもり?
いい人ぶってないで、真っ向から悪者になって幸せくらい掴んだら?


…手遅れになる前に、秋を助けてやってよ。
犠牲なしに得られるもんなんてなんもないんだ。」