「俺ならそんな苦しませない。 2人とも忘れさせて上げるよ? 藤野の気持ちを一番分かってあげられるし、こうやって、慰めてあげることもできる。」 おもむろに立ち上がった先輩は、あたしの横に腰掛けて優しく抱きしめた。 シトラスの香りは初めてちゃんと香る宮城先輩の香りで。 「我慢させないし、わがままもきいてあげるけど?」 あたしの背中を撫でる手は、慣れたものとは違う。 こんなことをされても思い出すのはただ一人。