「んで、藤野は忘れられたの?」 あたしの目を見て言う宮城先輩に、あたしは言葉に詰まった。 そんなの言うまでもないから。 上着を返せないのも、他の女の子をだいてるのに嫉妬するのも、こんなに胸が苦しいのも。 まだ好きだから。 「それなら、俺にしとけば?」 「……またそんな冗談を。」 たまに紡がれるそんな内容の言葉に、あたしは小さくため息をついた。 ただ、今回の表情は真剣なままだから、少しだけ、あたしの胸は揺れる。