「あんなに近くにいると、触れたくなる。 …だけど。 春が俺にとって大事なやつってのはかわんねぇよ。 だから友達から、やり直そう。」 そう言って慧はあたしの髪をくしゃくしゃと撫でた。 そのせいで、慧の表情は見ることができなくて。 「ごめん、慧。」 あたしはただ謝ることしかできない。 やっぱり慧はこうやっていつも、あたしに抜け道をくれるんだ。