伏せてつくりだした暗闇の中で涙をこらえると、ナオコはそう言ってため息をついた。
あたしがバッと顔を上げると、困ったように笑ってる。
「春がおもってるより、私は春のこと大事に思ってんだよ?
…友達のことやすやすと売らないし?
もうちょっと頼ってよね?」
ナオコの優しい言葉についには涙腺が崩壊して、
「あたしは自分が悪者になりたくない悪者だよ、本当最低なの。
…なのに、傷つくなんてもう。」
教室の真ん中で、あたしはナオコに抱きついて泣いた。
「…今日、慧に会うの。
これで全部元どおりなの。
あたしがそれを望んだはずなのに、なんでこんなに切ないの?」
事情なんてナオコが知るはずない。
だけどナオコは、ただただ黙ってあたしの独白を聞いてくれていた。

