別れる時、上着を忘れたふりをしたのは少し期待したから。
あれを見て俺を忘れないで欲しい、
もしかしたら返しに来てくれる時に姿が見えるかもしれない、
そんな女々しい思いを、上着にかけた。
藤野は、俺より慧を選んだのか。
そりゃ、数ヶ月と数十年と測りにかけたら負けることなんて分かり切ってるか、と俺は自嘲気味に笑う。
少しでも勝ててると思った俺がバカだった?
もし藤野が俺を少しでも好きでいてくれてたとして、
ふってわいたかのごとく生まれた恋心が幼馴染の絆に勝てると思った俺がバカだった?
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…