「藤野?…コレなに。」
低い低い声にビクリとすると、早川先輩があたしの首筋の一点に指先を置いた。
「なにって、見えないですよ…」
あまりの冷たいこえに小さくそう答えると、
「痛いっ…ちょっと先輩!?」
あたしの首に吸い付いた早川先輩は、そのままチクリと痛みを残して。
「ムカつく。…ほんとムカつく。」
「早川先輩、どうしたんですか。」
なにがあったんだろう。
怒ってるというよりは落ち込んでるっぽい早川先輩に、あたしは首を傾げるばかりで。
「早川先輩?」
俯いてる頬に手を重ねると、あたしは早川先輩を覗き込んだ。

