「藤野さんって、なんか色気あるよね。」
「へ、」
そんなことを言われの初めてなんですけど!
思わず赤面した顔を隠すように俯けた。
「照れてる?可愛い。」
「別に照れてるわけじゃ…。」
いや、照れてるんですけどね!
なんとなく女たらしに巧みに操られるのはスキじゃない。
「早川先輩は、見た目は草食系なのに。
よくすぐにキスなんてできちゃいますね?」
さっきの光景が目に焼き付いて離れない。
だってあたし、まだ初キスも終えてないカワイソウな女の子だし。
「深いのじゃないから本気じゃない。」
「さ、さいですか…」
早川理論に早くも理解不能なあたしは、早川先輩の向けるこの不敵な笑みが小憎たらしい。
イケメンなのがさらに気に食わない。
世の中はイケメン中心に回ってると思ってる顔だ、たぶん、だけど。

