「じゃ、ここで。」


あたしはひらりと手を振ってカオリ女子の方へ向かった。


「ちょっと待って。」


そういった慧はあたしの頬にちゅっとキスをした。


「慧…。」
「じゃあな。」


ニッと笑った慧は風ヶ丘の方に歩いていったけど、あたしはただ複雑な思いを抱えるばかりで。


だって、あたしは気づいてしまったから。


慧はあくまで幼馴染で、大切な友人の1人だってこと。


「あぁ、もうやだ。」

でも、失いたくない人だった。

『幼馴染を捨てる。』



昨日の慧の言葉が強くあたしの胸に響きわたった。