「一緒に帰ろうぜ。」 「うん、うん…。」 歩き出した頃はもう夕暮れ時で、涼しい。 なんて切り出したらいいかわかんなくて、あたしは結局だんまりを決め込んでしまう。 「春、この前は悪かった。」 「え?」 アパートの前まで送ってもらうと、慧は唐突に言って頭をかいた。 「春のこととなると、俺余裕ねぇんだ。 …春の一番近くに入れるなら幼馴染でもいいと思ったけど、それじゃダメなんだって気づいた。 最近早川と仲良いから妬いたんだよ。」 真剣な慧だけど、あたしには良く意味がわかんなくて。