「藤野!今日はありがとな!」
体育館に戻ると、早川先輩はMVPとしてバスケ部に連行され、あたしはそれを笑いながら手を振った。
風ヶ丘をでてしばらく歩いていると、
「…春。」
1週間ぶりに聞くその声は、少しだけ震えてて、
「慧…。」
あたしはふと、慧と気まずい雰囲気になるのはいつ以来だっただろうかと考えた。
一個上の慧はいつもなにかと大人で、あたしを守ってくれたし、仲良くしてくれた。
あの日、そんな慧が慧じゃないように見えて、あたしはショックだったんだ。
「慧…、えっと…」
でも、そんな慧も支えてあげなきゃいけないって、落ち込んだ慧を見てあたしは思った。

