早川先輩の溺愛。




「怪我はがんばった証拠です。
…別にあたしじゃなくても治療してくれる人なんてたくさんいますけど。」


あたしって本当に可愛くない。
ってか素直じゃない。


「藤野それ、嫉妬?」

「…ダメですか。
正直かなり気に入らないんですけど。
女の子に近すぎです…えーと、とにかく嫌です。」


あたしはこんなに面倒臭い女だったっけ。
…彼氏とかいたことないからわかんない。

ってか、先輩だから彼氏じゃないけど!


「藤野、抱きしめたい。」

「いつも聞かないくせに。」

あたしの言葉に笑った早川先輩は、あたしが施した下手くそな手当のなされた左手を少しかばって、ぎゅっと抱きしめた。


…なんかいままでと違う気がする。

心臓の動きが半端ないし、これは確実に寿命が縮まる。

それでもいっか、とか思ってる自分がかなり気持ち悪い。



確実に顔真っ赤だし、なんかドキドキが止まんない。


イケメン君に抱きしめられてるから、ってより、早川先輩だから。


なんか、そんな気がする。