早川先輩は相変わらず女の子に囲まれてる。
あぁ、なんか超嫌な気分なんですが。
…先輩に嫉妬ってどうなの?
あたしはおかしいんじゃないか。
でも、それよりなにより、あたしが気になるのは左手の怪我。
先輩のことだから、かっこ悪いとか思って知らないふりをしそう。
あたしは女子の軍団をかき分けて、早川先輩の手を取った。
「藤野!?」
「保健室行きますよ。」
驚いた顔をする汗だくの早川先輩。
あたしに隠したって無駄ですから。
あたしは掴んだ左手を軽く握ってにっこりと微笑んだ。
「顔がゆがんでますよ。
…痛いなら保健室行きましょう。」
「藤野にはかなわないね。」
女の子達の噂やら悲鳴やらが鳴り止まない中、あたしは早川先輩を引っ張って体育館の外にでた。

