「わかった?」
至近距離で覗き込まれて、いやなんていうはずもなく。
あたしはコクコクと頷いて、まわされたうでをぱしぱし叩いた。
「わかった、わかりました。
…ほら、ハーフタイム終わりますよ、助っ人だからって今日はキーマンなんですから。
…頑張ってください、あ、秋先輩。」
自然に、ごく自然に名前を呼ぼうと思ったのに、意外とそれが難しくてあたしは思いっきりどもってしまった。
…あーもうこれはだめ。
湯でタコもびっくりな顔の赤さかも。
「頑張るからな、春!」
いつもは赤くなる先輩をあたしが見てるはずなのに、今日は立場が逆。
とにかくあたしの頭は早川先輩でいっぱいで、しばらく走り去ってく後ろ姿をボーッと見つめていた。

