「も、先輩、恥ずかしいですからもうイイです…。」
心臓が持たないって。
「わかんないならもっといってあげるけど?」
「ヤメテください、もうわかりましたから!…わかんないですけど!」
もうなにいってるかわかんないあたしをひとしきり笑った早川先輩は、目尻に残った涙を指で拭った。
「泣き顔は俺だけな?」
「…早川先輩以外には見せれません、こんな顔。」
「それいい意味?悪い意味?」
ニヤニヤする早川先輩にあたしはぐるりと目を回した。
「先輩の前だけは、あたし弱くなっちゃうのかも。」
「それ、超嬉しいんだけど?」
「じゃ、いい意味なんじゃないですか?」
投げやりのあたしに満足そうに笑った早川先輩は、
「藤野かわいい!」
あたしをぎゅーーっと抱きしめた。
「ヤメテください、恥ずかしい!」
あたしの焦り声と先輩の軽やかな笑い声が辺りに響いたーーー。