携帯電話のアラームが鳴る。部屋には多枝だけが取り残されている。
   多枝、アラームをきり携帯電話を閉じる。
   深呼吸をし、すぐさま携帯電話を開き、電話をかける。

多枝 「・・・もしもしハルちゃん?」
陽彦 「多枝ちゃん?」
多枝 「うん。遅くにごめんね。寝てた?」
陽彦 「うぅん、大丈夫。」
多枝 「よかった。」
陽彦 「なに?どうしたの?」
多枝 「さっきはメールありがとう。うれしかった。」
陽彦 「ホント!?でもぎりぎりになってごめんね。部活の合宿行っててさ。」
多枝 「うん、知ってる。」
陽彦 「あっ、お土産かって来たから。山中湖だったから信玄餅。」
多枝 「やった、甘いの好き。」
陽彦 「うん、知ってる。」
多枝 「疲れてる?」
陽彦 「うぅん、さっきまでバスで寝てたから。」
多枝 「じゃあどうしようか、明日の映画。」
陽彦 「行ってくれるの!?」
多枝 「誘ってくれたのハルちゃんでしょ。」
陽彦 「そうなんだけど。」
多枝 「どこにいくの。新百合?」
陽彦 「ちょっと遠出しない?ワールドポーターズ。」
多枝 「横浜?いいね、楽しそう。」
陽彦 「この間テレビでやってたんだ。」
多枝 「まめだね。女の子みたい。」
陽彦 「横浜線だから、待ち合わせルミネの改札でいい?」
多枝 「うん。時間は?」
陽彦 「じゃあ11時で。」
多枝 「うん、了解。」
陽彦 「お土産、明日渡すから。」
多枝 「うん。」
陽彦 「・・・」
多枝 「どうかした?」
陽彦 「・・・ううん。楽しみにしてて。」
多枝 「うん。ありがとう。」
陽彦 「それじゃ明日ね。ばいばい。」
多枝 「うん。ばいばい。おやすみ。」

   電話中に部屋のいたるところから
   ミク・カコ・陽彦・滝澤・刑事・部下が登場し、多枝を見守っている。
   多枝、電話を切って一息つく。「ピーンポーン」とドアチャイムが鳴る。

多枝 「誰だろ。はーい。」

   多枝、玄関に向かう。ミク・カコ・陽彦・滝澤・刑事・部下、
   来訪者にまったく見当がつかない。

多枝 「きゃ~!!」

   玄関から多枝の悲鳴。
   驚いているミク・カコ・陽彦・滝澤・刑事・部下の中に多枝が逃げ戻る。
   玄関から幸治が埴輪を持って登場する。

幸治 「いやー、埴輪を野焼きしていたらすっかり遅くなってしまった。」

   幸治、埴輪を多枝に差し出す。

幸治 「どうだろう、僕の卒業制作は。多枝そっくりに作ったんだ。
    これで心置きなく多枝と付き合えるね。
    1日遅れてしまったけど、多枝、誕生日おめでとう!」

   幸治以外の人物達、みんなで頭を抱える。

   完