陰飛羽は格差社会だと、カナ女の卒業生である母さんは言っていた。



事実、普通の家柄から運良く陰飛羽に入る事が出来た奴なんかは、陰で苛められたりもする。



それだけじゃない。



生粋の御令嬢・御令息しか通えない、なんて中央高校の存在自体が言ってみれば格差だし、

陰飛羽の根底にある、総長制度やクイーン制度なんかも格差だろう。





陰飛羽の格差は勿論中学校にもある。


どの中学校も、家がお金持ちだったり、極めて優秀だったりする将来有望な子をA組に、

それ以外をB組にとクラス編成する。





A組の生徒はB組の生徒を見下してるし、

B組の生徒は卑屈になったり、A組嫌いになったりと、


中学時代からまるで本物の社会の真似事が出来るのもある意味陰飛羽クオリティ。





俺はまぁ……マフィアのボスの息子ですので、裏口入学なんてものをさせてもらいまして。


でも資料とか表面上は、母方の実家である和菓子屋の息子って事で記されてる。


極めて特殊な出自を隠せば、俺はなんにも特徴のない、冴えない生徒。


と言うことで、俺は当たり前だけどB組の生徒になった。






入学式の日、俺は若干の期待を胸に西苑中の門をくぐりまして。


支給された上靴の色が白か黒かでA組かB組かが分かるようになってるという事実を知ってげっそりして。



へー、上靴が黒いなんてお洒落ー、なんて浮かれていた自分を戒めてから、教室に向かいました。






《一年B組》と書かれたドアプレートを遠くから発見して、


そこへ向かって一直線。





だったはずが、途中でB組の前に人だかりが出来ている事に気づいた。