しかしその苦労は一瞬で水の泡になる。
「残念だったね。初伊にお母さん扱いされたが最後、もう男としては見られないかも。行成がいい例だ。」
挑発的な口調。
しかもいい笑顔で恵は東麻君を刺激する。
恵は知らないのかな。
東麻君のブラックモードを!
何か分からないけど、東麻君の目が座ってきてるよ?ブラック目前よ?
黙りなよ!という視線を送る。
「何か、初伊が熱い視線で俺を見てくる。……あ、さっきの続き?」
「違うってのー!」
何が相思相愛なの!
私の考え通じてないじゃん!
ていうか、自分のいいように解釈してるだけ。
つかつかと近寄ってくる恵。
折角距離をとったのに、意味がなくなっちゃう。
私の後ろは壁だから、これ以上退れないし!
近づく恵の足が止まった。
「……何。」
「さっきから思ってたけど、西巴君ってクールな冷血漢だったよね。今はご褒美に向かって一直線の犬に見えるよっ?」
どっちが本当の西巴君?なんて問いかける東麻君。
そう、恵の足が止まったのは、東麻君が恵の手を掴んでくれたから。
「……俺と初伊の道を妨げるとかいい度胸だね。」
「さっきから初伊初伊初伊初伊うるさいなぁ。西巴君、本当に女にどっぷりハマった駄目男になっちゃったんだっ?」
東麻君は、みっともないと嘲笑する。


