「宮前さーん!?借りたもんは返して下さいよ~!?」
「オラ、いるんだろ?!居留守使うなよ!」
不況とライバルホテルの登場は、私が考えるよりもずっと経営に打撃を与えていた。
赤字だらけになってしまい、気がつけば億を超える借金を宮前は抱えていたのだ。
借金を返す為には、家を売る他道は無かった。
中1の春、私は家を失った。
それと同時に、今まで持っていた物をなくしたのだ。
綺麗な服も、贅沢な食事も、身の回りの世話をしてくれた家政婦達も。
私が当たり前だと思ってたものはぜーんぶ、なくなっちゃったんだ。
それからお父様は親戚のツテを借りて、普通の会社員として働いた。
『えれな、仕事に良し悪しはないんだよ。』
そう言ってお父様は笑顔で働いていたけれど、私はお父様が笑っていられる訳が分からなかったのだ。
私は、凄く悔しかった。
育ちも自分より下の人達と同じ生活をする事が。
凄く恥ずかしかった。
お父様が一会社員でしかないことが。
そんな中、私にチャンスが巡ってきたのだ。
その手紙を読んだとき、嬉しすぎて息が止まった。
《貴殿の陰飛羽西凛高校への入学が認められました。》
中3の冬、私は手にしたのだ。
チャンスを。
もう一度返り咲ける切符を。


