……ちょっと待って。
私が知ってる“姫”の定義は、総長の恋人。
だから東の姫になるって事は、東麻君の恋人になるって事。
前に橘は言ってた。
前の西校総長の恋人が姫先輩だって。
それで恵に彼女がいないから姫先輩が姫なんだって。
「姫先輩の……恋人はどうするの?元西校総長の……。」
「ああ……あの人?別れる。もう価値ないもん。」
それを聞いた瞬間、自分の中の何かが溢れだした。
価値って……何?
人に価値ってつけるものじゃないでしょ。
どうして恵や東麻君を物みたいに扱うの?
どうして、どうして、どうして!
自分を愛してくれてる人をそんなに簡単に切り捨てるの?
「ねぇ……烏丸のお嬢様は、知らないでしょ。愛だけで生きていけない事なんて、生まれたときから勝ち組の貴女には分からないでしょ!」
言いたいことが纏まらなくて、口を閉ざしてる私を姫先輩は冷たい視線で射捉えた。
そして呟いた。
志乃もあんたも嫌いだ、と。
「顔も、お金も、成績も……全部持ってて、自信満々で誰からも好かれるあんた達が羨ましい……。ねぇ……代わってよ。えれなと。」
「烏丸の四人目の位なら世間にもそんなにバレてないし出来るかなぁ……。ただなぁ、うるさいのが一人いるからそれを黙らせれば代われる気がします……。」
「ふざけないでよ!そんな現実的な話してるんじゃないんだけど!」
意外といける気がする、と確信していれば凄いキレられた。
姫先輩が言いだしっぺなのに……
私は至って真剣に考えたのに。
「言っておくけど、もし本当にえれなと入れ替われる状況になったとしたら、あんた絶対代わりたくないって言うわよ?!」
「どうしてですか。」
「私の話をしてあげる。……自分でも分かってるんだ。“堕ちた”って。」
自嘲気味に微笑んだ姫先輩は、今までの事をぽつりぽつりと話始めた。


