「変な組み合わせ。」
別棟二階のとある一室に、姫先輩がいた。
ソファーの上で体育座りをしていた姫先輩。
扉を開けたのが私達だと分かると、気まずそうな顔をする。
「なぁに、美琴君。初伊ちゃんをずたぼろにするの、失敗したの?」
残念、とふざけた調子で先輩は笑った。
姫先輩の仕業だと聞いていても、まだ心の中では少し信じていなかった。
けれど本人の口から紡がれる事実からは、避けれそうもない。
「姫先輩……。」
「何?ショックだった?えれな、初伊ちゃんの事、友達なんて思ってないから。ちょっと優しくしたら信じて。馬鹿みたい!」
「宮前えれな……!」
好戦的な姫先輩に、恵は怒りの声をあげた。
姫先輩に近づこうとした私の前に立ちはだかる。
「恵君は初伊ちゃんが本当に好きなのね。庇っちゃって。行成君にも恵君にも大切にされて……本当、色目を使うのが上手い女。」
「ねぇ、……殺すよ?」
一触即発。
まさにその言葉が似合う空間。
恵は姫先輩から私を隠そうとするけど、今の私にとっては恵の優しさがちょっと邪魔だ。
「恵、悪いけどどけて。姫先輩と話をさせて。」
「駄目。こいつは初伊を侮辱した。」
「……別にいいよ、侮辱でも何でもされても私は気にしないから。」
「嘘だ。行成が意外と小さい事で初伊は傷つくって。」
橘……。
よく見ててくれて嬉しいけど、そういうのを恵に教えるのはやめてください……!
恵の過保護が増えるんです!
なんかもう、恵に何かを言い聞かせるのが面倒になった私は、恵のスネを思いっきり蹴りあげた。
私を思ってやってくれただけに大変申し訳ないけど、致し方ない。


