「橘。それから恵。凄い我が儘言ってもいい?」
恵のカウントがゼロになった時、烏丸は立ち上がって、俺と恵の顔を交互に見ていった。
その顔は、目はまだ赤いけれどもう凛としたいつも通りの彼女の顔。
「な、何?」
「私に、姫先輩の処遇を任せてもらえないかな。」
「は……?処遇?」
西を裏切った宮前えれな。
その罪は重い。
西校連盟にいられないようにするのは勿論、痛めつけようと思ってた。
「私は西校連盟の人間じゃないから、姫先輩の事に関与するのはおかしいって分かってる。でも、橘と恵には……姫先輩を任せたくない。」
「初伊。……この後に及んであいつに情けを掛ける必要はないよ。」
「情けじゃないよ。私の我が儘。」
烏丸は、俺とめぐが宮前えれなにきつく当たるつもりだったことに気づいていた。
それで、俺らの代わりに自分が彼女に制裁を加えると提案してる。
烏丸なら、宮前えれなに手を上げる事もないだろう。
……ほんと随分他人思いな“我が儘”だ。
「……初伊に危険が及ぶかもしれないじゃん。俺はやっぱり嫌だ。」
烏丸第一、どこまでも烏丸に過保護なめぐは、そんなことを許すはずがなく。
「お願い!」
「初伊、帰ろうよ、ね?」
もうそのままめぐが烏丸を引っ張って帰っちゃいそうな空気になって。
でもその空気を壊したのは今まで黙ってた東麻だった。


