「ねぇ、僕の事、美琴って呼んでよ。」
ブラックモードから一転。
女の子が見たらそれこそ卒倒もしくは鼻血が出ちゃいそうなキラキラ笑顔で言う東麻君だけど……。
「えと……無理?」
そういうと、ピシャーンと空気が固まった音がした。
「ちょ、先輩!こういう時はちゃちゃっと呼んじゃって下さいよ……!」
ブラックモードから逃げたい蛍君に苦い顔されるけど、でもこれだけは譲れないよね。
「私、これでも一応カナ女生なんで。」
「それが何?」
「……東麻君さぁ、中央の東西南北への干渉禁止って知ってる……?」
聞けば真顔で知らないと答えられた。
あれおかしい。
なんで総長達はこぞってルールを知らないんだ。
「じゃあなんで蛍は蛍君なの?」
「蛍君は、特別。」
「じゃあ僕も特別にして?美琴って呼んでよ……ね?」
その時、執拗に名前呼びをねだるその姿がフラッシュバックした。
『夜白って呼べ。』
「なんか……夜白みたい。」
私は聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟いたんだけど、どうやら東麻君には聞こえてたみたいで。
「へぇ、南城君は夜白なんだ。……じゃあ西巴君は?」
「め、恵です。」
「じゃあ僕は?」
「東麻君。」
おでこをベチッと叩かれました。
「そうえば。初伊ちゃんってさぁ、南城君の彼女なの?」
「へっ?」
思いのほか情けない声が出てしまった。
というのも、あまりにも予想外な質問だったから。
滅相もございません!と急ぎ返事をした。
じゃないとなんか夜白に怒られそうだ。
夜白には私なんかより、もっと綺麗で大人な人が似合うもん。
「じゃあ西巴君の彼女なの?」
「恵の?!まさか!」
今度は凄い勢いで否定した。


