「シンファ…エアリスはな、この村の巫女だったのだ。
ここは、精霊の隠し里といわれる伝説の村で、今のここの様子を見る限りでは信じられないかもしれないが、昔はそれはもう楽園のような村だった。
この村には巫女という特別な者がおり、巫女となった者は当然その仕事を全うしなければならん。
無論、その間は男性との恋愛はご法度だ。
それがこの村の掟だったのだ。」
巫女…?
あの母さんが…?
(そういえば……!)
僕は、村で見たあの女性のことを思い出していた。
長いまっすぐな金の髪を乱し、澄み渡る美しい声で歌いながら、舞い踊っていたあの女性はやっぱり母さんだったのだと……
「しかし、ある時、ここに旅人が迷い込んで来た。
それがクロードだ。
エアリスとクロードは一目で恋に落ちた。
だが、巫女に恋愛は許されない。
私達は猛反対したが、二人の情熱は止められなかった。
やがて、エアリスはおまえを身篭った。
エアリスは、精霊に言われたことを私達には話さなかったが、『私達がここにいたら、村の人達に迷惑がかかる』といって村を出てしまった。
しかし、エアリスがここを離れても、何の意味もなかった。
……エアリスが出ていってから、村は異常な天候に襲われた。
降り止まぬ大雨に悩まされ、家は壊れ、作物は全て腐ってしまった。
ようやく、雨がやんだと思ったら、今度は今までにない暑さとなり、井戸は枯れ、川さえも干上がった。
その間に一人…また一人と村を去り、今では私一人となった。」
ガーランドさんは感情を込めずに、村の歴史を淡々と語った。
「それが、母のせいだというのですか?
母が掟を破ったから、その制裁でこの村はこんなに荒れ果てたと……」
「残念だが、そうとしか思えない。
当然、エアリスやクロードのことを悪く言う者も多かった。
だが、私はそうは思わない。
なぜならエアリスは他の巫女とは少しばかり変わっていたからだ。
普通は十歳頃に巫女になるのが通常だったのだが、エアリスはまだ幼い五歳か六歳の頃だった。」
「あの…ガーランドさん。
巫女は、一体誰が決めるんですか?」
僕はさっきから気になっていたことを質問した。
ここは、精霊の隠し里といわれる伝説の村で、今のここの様子を見る限りでは信じられないかもしれないが、昔はそれはもう楽園のような村だった。
この村には巫女という特別な者がおり、巫女となった者は当然その仕事を全うしなければならん。
無論、その間は男性との恋愛はご法度だ。
それがこの村の掟だったのだ。」
巫女…?
あの母さんが…?
(そういえば……!)
僕は、村で見たあの女性のことを思い出していた。
長いまっすぐな金の髪を乱し、澄み渡る美しい声で歌いながら、舞い踊っていたあの女性はやっぱり母さんだったのだと……
「しかし、ある時、ここに旅人が迷い込んで来た。
それがクロードだ。
エアリスとクロードは一目で恋に落ちた。
だが、巫女に恋愛は許されない。
私達は猛反対したが、二人の情熱は止められなかった。
やがて、エアリスはおまえを身篭った。
エアリスは、精霊に言われたことを私達には話さなかったが、『私達がここにいたら、村の人達に迷惑がかかる』といって村を出てしまった。
しかし、エアリスがここを離れても、何の意味もなかった。
……エアリスが出ていってから、村は異常な天候に襲われた。
降り止まぬ大雨に悩まされ、家は壊れ、作物は全て腐ってしまった。
ようやく、雨がやんだと思ったら、今度は今までにない暑さとなり、井戸は枯れ、川さえも干上がった。
その間に一人…また一人と村を去り、今では私一人となった。」
ガーランドさんは感情を込めずに、村の歴史を淡々と語った。
「それが、母のせいだというのですか?
母が掟を破ったから、その制裁でこの村はこんなに荒れ果てたと……」
「残念だが、そうとしか思えない。
当然、エアリスやクロードのことを悪く言う者も多かった。
だが、私はそうは思わない。
なぜならエアリスは他の巫女とは少しばかり変わっていたからだ。
普通は十歳頃に巫女になるのが通常だったのだが、エアリスはまだ幼い五歳か六歳の頃だった。」
「あの…ガーランドさん。
巫女は、一体誰が決めるんですか?」
僕はさっきから気になっていたことを質問した。



