「おまえがシンファか……」

ライアンは、ガーランドさんに僕を紹介すると、水を汲みに行くと言い出し、アズロもライアンの足を心配して彼についていった。
ガーランドさんは、どこか威厳のある長い白髪混じりの初老の男だった。



「はい。」

「だいたいの話はライアンから聞いた。
気の毒にな……
しかし、エアリスを恨まんでやってくれ。
あいつは、ただ純粋にクロードのことを愛してしまっただけなんだ。」



クロード…
その名前は、ずいぶん昔に聞いたことがあった。
僕の父さんの名前だ。
僕が生まれてすぐに亡くなったとだけしか聞いていない、顔さえも知らない父さんの名前……



「ガーランドさん、どういうことなんです?
クロードっていうのは、僕の父親の名前ですよね?
母さんを恨むなとはどういうことなんです?」

「シンファ…おまえは、エアリスから何も聞いてはいないのか?」

僕にはその言葉の意味さえよくわからず、ただ曖昧に首を振るだけだった。
ガーランドさんは呆れたような驚いたような顔をして僕をみつめる。
僕は、母さんに何を聞いていないっていうんだ?



「そうか…エアリスは何も話していなかったのか……
しかし、話さんわけにもいかんだろうな。
話さなければ、おまえも何もわからない。」

ガーランドさんが何のことを話しているの思い当たることさえ僕にはない。
だけど、その話しぶりから、母さんには何か僕に話していない重大な秘密があったのだということだけははっきりとわかった。
そして、それはおそらく、僕のこの忌まわしい身体に関わることなんだ。



「ガーランドさん、教えて下さい!
どうして、僕がこんな身体になったのか…
あなたは、その理由をご存知なんでしょう?」

ガーランドさんはゆっくりと頷いた。