_____そしたらもう、怖くないでしょう?

そんな声が聞こえた気がして、私は飛び起きた。

「また、夢か………」

夢の中では震えていたはずなのに、現実ではじっとりと汗をかいている。

お陰で衣も湿って気持ちが悪い。

服を変えようと起き上がろうとして、目眩に襲われ布団の上に倒れ込んだ。

これは、本格的にまずい。

チカチカと周りに星が飛んでいる。

ここまで体調を崩したのも初めてだ。

「紅河さん、起きてます?夕餉の時間ですよ」

戸の外で沖田が呼びかける。

そんな時間まで寝ていたのか。

私が寝始めたのが朝餉を食べ終わって半刻経った頃。

半日も寝てしまった。

返答の無い私を訝しんだのか、沖田が戸を開けた。

「紅河さん?大丈夫ですか」

女の部屋を勝手に開けるな。

「大丈夫………ではないな」

流石に大丈夫と言える状態ではない。

「夕餉、食べれます?」

「いや、無理だな」

「うーん。熱ですかね?」

沖田が私の額に手を乗せる。

その手は冷んやりとしていて気持ちが良い

「………って、こんな熱あるじゃないですか。待っててください。水持っていますから」

慌てて出て行く沖田。

私は重い瞼に従って目を閉じた。

今度は、夢など見ないだろう。

深い眠りに私は引き込まれていった。