「うん。話してみて改めてわかった。私は君達が心底嫌いだ。私は感情で動くほうではないけれど。君達は潰してあげるよ。僕と紅河で」

紅河は、私の命令に抗わないだろうから。

新撰組を潰そうか。

そう言えば、きっと紅河はあの時と同じように答えるはずだ。

『兄上がそう言うのならば』

何の表情も変えずにそう言うだろう。

そして、必ず実行する。

それが、菁河の見てきた紅河だ。

それが、‘‘菁河の前”での紅河だ。

その前に、紅河が壊れたままの可能性があるけれど。

「残念ですね、一さん」

「あぁ、舐められたものだな」

「私達をただの人斬り集団だと思わないで下さいよ」

「たとえ紅河が敵になったとて、新撰組は新撰組だ」

あぁ、そうか。

菁河はこの二人になぜ苛立つのかがわかった。

‘‘仲間意識”だ。

だけどそんなもの、簡単に壊れる。

菁河は、薄く凄絶に笑った。

とん、と塀を飛び降りる。

沖田と斎藤が刀を抜く暇なく、菁河は闇に消えた。