…――その日も、
姉さんは怒られていた。
頬を張られ、腹を蹴られ、
髪の毛を引っ掴まれて
罵倒されていた。
成績が奮わなかった。
ただ、それだけで
父さんと母さんは、
姉さんを酷く傷つけるんだ。
「やめて!!
やめてよ、父さん! 母さんも!!」
僕は何も出来ず、
叫ぶことしか出来ず、
泣くことしか出来なかった。
今までの僕は、
余りにも無力かつ馬鹿だったのだ。
殴られる姉さんを、
泣き叫ぶ姉さんを、
ただ、見ていることしか
出来ないだなんて。
弱い自分を呪った。
何も出来ない自分を憎んだ。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
設定されていません
読み込み中…