気がついたら僕はケイタの家を飛び出し、 タクシーに飛び乗っていた。 運転手に短く行き先を告げ、 目許を片手で覆って深く溜息をつく。 怒りか哀しみか、 なんだかわからない感情が 僕を支配していく。 僕は、ひとりになってしまった。 目を閉じれば姉さんの姿が見える。 脳裏に焼き付いた、 あの日の、姉さんの――…。