朝陽がスマホをいじりながら、思い付いたようにいきなり顔を上げた。
「皐月から小宮ちゃんの聞き込みしたら?」
「え゛」
「はい、碧依の人見知り発動〜!大丈夫!アイツ意外と優しいから!」
「俺、星野と喋ったことないんだけど」
「行って来いって!今なら小宮ちゃんいないから聞き込みし放題だぞ!」
朝陽に椅子から立ち上がらされて、半ば強引に背中を押された。
うっ………正直なところ、星野に苦手意識ある。
なんか……冷たそうだ、ものすごく。
「…星野」
「ん?」
スマホから顔を上げて長い黒髪を耳にかけた。
「羽珠のことで聞きたいことあるんだけど」
「…早く仲直りしてやって。神木がいないと寂しがってる」
「そんな風には見えない」
「あんたバカ?堂々と寂しがる女いると思う?見えないところで泣いてるのよ」
確かにそうかもしれない。
羽珠の笑ってるところは、たくさん見たけどあんまり悲しんでるとこは見たことない。
俺に弱いとこ見せてくれてないかも。

