再度頭からジャージをかぶって、すーっと大きく息を吸う。


碧依くんの匂いだぁ〜!!


顔を隠して息を吸ったり吐いたりして、ジャージから顔を出すと碧依くんの呆れた視線。


「良い匂いだから嗅いでたの」

「別に理由聞いてないし」

「別にあたし変態とかじゃないからね〜!」

「それなら、ジャージの匂い過剰に嗅ぐのやめてよ」


碧依くんの匂いって安心するんだもん。


優しい匂い。



またジャージで顔を隠してると、碧依くんが隣から消えてた。


キョロキョロ見渡すと、プールのフェンスからグラウンドを見下ろしてる寂しそうな背中。


「碧依くーん?」


その背中に話し掛けると、びくっと肩を揺らす。


「あ!サッカー部だねっ。岬見付けられた?」

「……分かんない」

「待ってよ〜碧依くん!」


また二人で隣同士でプールに足を入れて座る。


冷たくて気持ちいい〜………。