結局あんまり小宮と話さないまま駅に着いた。


やっぱりこの時間って人少ない。


「ありがとう…碧依くん!」

「別に」

「あのっ……で、電車来るまでいてくれるの?」

「そのつもりだけど。俺帰った方が良い?」

「そ、そんなこと!ただ…あ、碧依くんに申し訳ないなって……」


普段はあんなにうるさいのに、なんで今更控えめになっちゃうかな。


俯いてる小宮の横顔は少し赤かった。



電車が着くアナウンスが流れると、小宮は寂しそうに笑って定期を出す。


「こうゆう日に限って電車来るの早いよねっ!碧依くんも……気を付けて帰ってね」

「俺は男だから大丈夫。電車行っちゃうよ?」

「あ…うん!」


小宮は改札を通って走って電車に向かうと、くるっと振り返った。


「碧依くん!あたしもっと碧依くんのこと好きになっちゃったー!!」

「……勝手にすれば」


こんなとこでバカじゃないの?


でもほら……まただよ。


小宮がいなくなると胸がぎゅっと締め付けられて苦しくなる。