【羽珠side】



耳障りなほど鳴いてるセミ。


図書室の窓から射し込む、眩しく暑い真夏の陽射し。



もうこれ以上聞きたくない……。


耳を塞ぎたくなる。


泣きそうに…なる。


ねぇ、碧依くん………


あたし達はいつからすれ違ったの?


「なんで俺に隠してたの?」

「隠してたわけじゃないの!」

「こんなんだったら、羽珠のこと信用出来ないから……」



あぁ……もうヤダ…。


聞きたくないよっ…!



「別れよ。俺ら」

「へっ…?嘘、でしょ?」

「こんな冗談言うはずないじゃん。本気だから」

「嫌…別れたくない!あたし……まだ碧依くんのこと好き!」

「羽珠は好きでも俺は好きじゃない」


何かが崩れ落ちる音がした。



夏休みまであと1週間。


真夏の暑い日、あたしと碧依くんは儚く終わってしまった。


フラれたんだ……あたし…。


ショックで涙も出ないよ………。