【羽珠side】



少しだけ夏の匂いが鼻を掠めるようになった今日この頃。



寂しいけど、碧依くんと帰れることが少なくなった。


理由は受験のための模試。


応用問題とか、難関大学レベルの勉強が完璧になるようにって放課後は勉強詰めみたい。


碧依くんと同じく難関大学を目指してる子も数人いるらしく、みんなで勉強頑張ってるんだとか。



その分、とてもあたしは寂しいです!!


隣に碧依くんがいないって、こんなに切ないんだ……。



俯き気味に歩いてると、横に高級車が停まった。


もう誰か分かっちゃうじゃん……。


「何の用ですかっ。月都くん」

「あれー?分かっちゃった?」

「分かるわよ!最近ずっと、あたしに会いに来てるし」

「うん。だって、羽珠ちゃん目当てだもん♪」


碧依くんがいないことを良いことに、月都くんが頻繁に会いに来る。


時間やタイミングをバッチリ計ってね。


呆れるー………。


「なんで、そんな顔するの?もうちょっと、喜んでよ」

「喜べるはずないから!その、高級車で登場とか嫌味?」

「車じゃなきゃ良いの?」

「はぁー……そうゆうわけじゃないけどさ…」

「なら良いじゃーん」


ニコッと笑って車の窓を閉めた。



あたしは厄介な人に好かれたかも…。