【碧依side】
帰りのホームルームが終わると、誰よりも早く教室を出た。
下駄箱に行くと、小宮の下駄箱にビニール傘と小さなピンクのメモ帳。
貼り付けてあるメモ帳を見ると、意外にもキレイな字で真面目な謝罪文。
別に謝られなくてもいんだけど。
俺はその傘を持って下駄箱を出た。
最初、小宮と同じ委員になった時は俺のくじ運の悪さを心から恨んだ。
他にも委員会空いてるのに、よりによって小宮と……。
またずっと、碧依くん碧依くんってうるさいんだろうな…って想像してたけど違った。
仕事する時はちゃんと真面目に仕事してた。
俺なんかお構いナシに。
なんだ………案外、小宮って真面目な子なのかも。
「嫌い」なんて言って、かなりヘコませたことをちょっと反省。
そんな時、梅雨のせいで急にどしゃ降りの雨が降った。
小宮は心底困った顔で窓の外を眺める。
だから俺は持って来てた傘を小宮の下駄箱にかけておいてあげた。
小宮でも……女の子がびしょ濡れで帰るのは可哀想。

