少し寒い学校での休み時間。


俺の前の空いてる席に羽珠が座った。


優しく微笑んで俺の頬を温かい小さな両手が包んだ。


「悩んでる顔してる。考え事でもしてるの?笑ってよ」

「笑えないよ。羽珠に嘘付けないね」

「当たり前〜!浮気とか、すぐに見破っちゃうから覚悟してよねっ♪」

「こわっ……。油断も隙もない」

「浮気するの〜!?ショック〜…」


するわけないじゃん。


どんなにキレイで可愛い女の子に告白されても霞むよ、絶対。


「ねぇ、教えて?悩み事」

「これ言ったら羽珠も悩むけど良いの?」

「碧依くんが一人で抱え込むぐらいなら、二人で分けたいもん」


羽珠になら、なんでも話せる気がする。



悩ませる覚悟で言ってみた胸の内。


「俺の家来ない?…実は、父さんが会いたがってて…」

「碧依くんのお父さん……」

「うん。俺は羽珠が傷付くから会わせたくないんだけど」

「…あたし会うよ。お父さんとお母さんに。だってさ!彼女です、って挨拶まだしてないんだよ!1年以上付き合ってるのに」


それもそうだけど。


すげー悩む。