【碧依side】
部屋で学校に行く身支度を整えて、真っ直ぐ玄関を目指す。
朝メシは食べない。
だって、父親と母親がいる窮屈な環境で食べるのって嫌じゃん?
まだまだ寒いから、マフラーぐるぐる巻にして完了。
リビングへ出ると新聞を読んでる父親とパソコンと向き合ってる母親。
何も会話を交わさず通る俺に、父親が呼び止めた。
「碧依」
「……ん?」
シカトしようか悩んだ。
でも何か重要なことを言われる気がして、立ち止まってしまった。
「近々、彼女を呼べ」
「は?」
「園寺家の婚約者よりも、お前はそっちを選ぶんだろう?医者の息子に相応しいか見定める」
「別れさせる気?そんなの分かってて、呼ぶわけないじゃん」
「別れさせるなんて一言も言ってない。見定めるだけだ」
「考えとく…」
父親の真意は分からない。
でも別れさせる気なのは伝わる。
逆に取れば、羽珠と俺を認めてもらうチャンスかもしれない。
悩むな………。