こうやって手を繋いで駅まで送ってく時間が好きだ。
羽珠の他愛のない話を聞くのは悪くないと思う。
なのに、駅に着いてから、急に羽珠が不安そうな顔する。
「今更なんだけど…」
「ん?」
「碧依くんは、あたしが話してて退屈とかしてない?つまらない?」
「まず、羽珠と一緒にいる時点で退屈なんてしない」
「ほんとに!?」
期待の眼差しに俺が頷けば、改札の手前で悲鳴を上げてジャンプ。
行き交う人達が、みんな羽珠に注目してますけど………
「改札の前、ジャマになってる」
「ごめんなさい!碧依くんって、ほんとにお母さんだよね」
「羽珠が子供だからじゃない?」
「ぶーっ………」
唇を尖らせて不満足な顔。
人の波が一気に改札を通り過ぎて、人がいなくなった瞬間。
ピンクの可愛い頬を両手で包んでキスをした。
「……っ…!!」
「お母さんと彼氏の両方やるのは疲れる。もうちょい大人になってね?」
「は、はぃぃ!!」
声裏返ってるし。