そして今日も放課後、当たり前のように手を繋いで駅まで行く。


当たり前が幸せだ。



「碧依くん!見て!可愛い鳥がいる!……あっ!逃げちゃった〜…」

「羽珠のこと怖かったんだよ」

「脅してないのに〜!!あたし怖くないよ!!可愛いでしょ!?」

「可愛い、可愛い」

「うわー棒読み!!」


ほんとに可愛いって思ってる。


俺なりに本音なんだけどな。


頬を膨らまして怒る羽珠が、可愛くて意地悪したくなる。



意地悪した分、甘やかしてあげるつもりだけど。


小さな背中を後ろから、ぎゅっと抱きしめて包む。


「ひゃっ!?あ、あああ碧依くん!?」

「何動揺してんの?」

「すっ、するよ!だってあたし……抱きしめられてる……」

「可愛い羽珠の機嫌取り」


数回頷くだけで、静かになっちゃった。


耳真っ赤。


さりげなく指で耳に触れれば、ビクッと過剰に反応する肩。


「ヤバ……可愛い…。襲いたい」

「ね、碧依くん…!ここ駅!外!」

「人いないじゃん」



せめてキスだけ許してね。