プールに入れた足を動かして、水飛沫をあげてる羽珠は楽しそうで。
俺はその姿を眺めてるのが楽しい。
「なんだか去年のプール掃除思い出すね」
「あれはダルイ。もうやりたくない」
「あたしはやっても良いかな〜!碧依くんとなら!」
「そう?」
大きく頷いて微笑んだ。
去年の蒸し暑い夏、水泳部顧問に怒られて羽珠としたプール掃除。
あの時から薄々羽珠のこと好きだったのかな…って今なら分かる。
「んーっ!!気持ち良いね……。なんだか空に手届いちゃいそう…」
「…快晴だね。真っ青」
「ねー!!青と言えば……碧依くん!碧依くんって名前の由来何?」
「いきなりどしたの?」
「なんか気になっちゃって!」
「それなら、俺も知りたいよ」
俺も知らないや。
自分の名前の由来なんて。
そんなこと、親と話したこともない。
俺は親とずっと和解出来ないと思う。
「あはは……分かんないよね!あたしもわかんないもん!」
「うん…。分かんない」
羽珠はそれ以上何も言わなかった。
ほんとに気使えるヤツ。

