すると蒼伊は 駅前の最近できた高層マンションを 指さした。 「ここ?」 またコクんと頷く。 よかったぁ、通り過ぎてなくて。 「じゃあ俺電車だから。また明日な」 「…また……明日」 かすかに聞こえたそれは 蒼伊の透き通る声だった。