「…ありがと」 「何が?」 「助かった」 「怯えてるようには 見えなかったけど?」 萩野さんという子の口角が 少し上がった。 「あんた転校生?」 「…ん」 「そう。私は萩野璃紗(はぎのりさ)」 「蒼伊な…」 名前を言いかけたとき 教室の扉が開いた。