だがすぐにその思考を振り払った。


 今回は運が良かっただけで晴流は殺されていたかもしれないのだ。


──これ以上、何を恐れるっていうの。


 雪姫はケータイを取り出すと名刺に書かれた番号を素早く打った。2コール目で先程の年配刑事の声が聞こえる。


「──もしもし、天城 雪姫です。気づいたことがあるので、明日お時間いいですか?」















 今でもこの選択が正しかったのかは分からない。


 少なくともその時のわたしは晴流を傷つけた犯人を知ろうと必死で、それが最善だと思ってた。だから…















これ以上何かを失うなんて、想像もしてなかったんだよ。