視界を奪う淀んだ濁流の中、身体が引き裂かれてしまいそうな程の凄まじい水圧。痛みを通り越して痺れしか感じない手足になっても、それでもオレは掴もうとしていた。


 生き永らえたかったからじゃない。自分の命なんかよりももっと、ずっと、護りたい命と想いがあったから。


──どこだ、どこにいる……!


 勢いであちこちにぶつけられ骨が軋む音に歯を食いしばり耐えながらも、叫んだ。呼び続けた。意識を失うその瞬間まで。


 段々と霞んでいく景色。無力さと悔しさに歪む脳裏に浮かんできたのは、大好きな太陽の笑顔。


『……ゆ……き……』


──あいつを、護れなくて、ごめんな……。