「あれ、僕の名前知ってるんだ。前に会ったことあったっけ。」
「…会ったことはない。けど、知ってる。」
「…ふーん。ま、いいけどね。」
湊人は手に持っていたコンビニ袋からパンを一つ取り出し晴流の方に投げて寄越した。そして自身も床に腰を下ろしおにぎりにかぶりつく。
「君って死にたがり?刺された時も"殺せ"って叫んでたよね。」
「…」
「安心して。用が済んだら望み通り殺してあげるから。」
湊人は親指で口元を拭うと、片方の口角を吊り上げ不適に微笑んだ。
「君は──天城雪姫を誘い出す良い餌になる。それまでは生きててもらわないとね。」
「…っ!?」
「お前…何を企んでる…!?」
「その内分かるよ。」



