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その後警察を呼ぶと話もそこそこに現場検証が始まった。
血痕の乾き具合や溜まっていた新聞の日付から割り出された犯行日時は、8月1日の夜。それは奇しくも、雪姫が犯人捜しに駆けずり回っていた日だった。
──犯人の狙いは、晴流だけじゃなかったの……?
わざわざ手紙を投函してまで斗真の死とそれに対する復讐の意志を示していた犯人。だからこそ警察も雪姫達も晴流の捜索にのみ意識を向けていたし、それが最善だと思い込んでいた。
しかし、奈々は襲われてしまった。しかも連れ去られた。今どこに居るのか、生きているのかも分からない。分かっているのは──怪我を負っているということだけ。
「何で、よりにもよって奈々ちゃんなんだろうねぇ……」
「……」
不意に琥太朗の口から零れた呟き。雪姫は答えを返すことが出来ず、無言で膝を抱える。
まだ斗真が不良と呼ばれていた頃から彼を気に掛けていたのは奈々だった。仲間に、と直接声を掛けたのは雪姫だが、それも奈々在ってこそのことで。
──本当に斗真のことを想うなら、奈々は一番傷つけてはいけないひとなのに……。
その後警察を呼ぶと話もそこそこに現場検証が始まった。
血痕の乾き具合や溜まっていた新聞の日付から割り出された犯行日時は、8月1日の夜。それは奇しくも、雪姫が犯人捜しに駆けずり回っていた日だった。
──犯人の狙いは、晴流だけじゃなかったの……?
わざわざ手紙を投函してまで斗真の死とそれに対する復讐の意志を示していた犯人。だからこそ警察も雪姫達も晴流の捜索にのみ意識を向けていたし、それが最善だと思い込んでいた。
しかし、奈々は襲われてしまった。しかも連れ去られた。今どこに居るのか、生きているのかも分からない。分かっているのは──怪我を負っているということだけ。
「何で、よりにもよって奈々ちゃんなんだろうねぇ……」
「……」
不意に琥太朗の口から零れた呟き。雪姫は答えを返すことが出来ず、無言で膝を抱える。
まだ斗真が不良と呼ばれていた頃から彼を気に掛けていたのは奈々だった。仲間に、と直接声を掛けたのは雪姫だが、それも奈々在ってこそのことで。
──本当に斗真のことを想うなら、奈々は一番傷つけてはいけないひとなのに……。



