「…何か、あったんですか?」


 いつもなら着信を見て10分以内に折り返してくる奈々が一向に連絡してこない。そのことには少なからず違和感を抱いていたが、晴流を捜すのに必死でそこまで気が回らなかった。


 しかし奈々の母がわざわざ電話を掛けてくるなどよっぽどのこと。それはつまり、何か重大なことが起きたことを表す。


──なんか、嫌な予感がする…。


 その雰囲気を感じ取り琥太郎も耳を寄せ返事を待つ。


 そして、彼女の口から紡がれた言葉に耳を疑った。


『…奈々ね、一昨日から家に帰ってきてないみたいなの。どこに居るのか心当たりないかしら…?』


「…っ!?」















 斗真の事故から一年。晴流の事件から6日目。大切な友人がまた一人、目の前から姿を消した。